歴史を学ぶ意味と高校世界史の勉強法についてまとめてみた ⒈ 意味編
『世界史です』
「特技は?」っていう質問に、高校の頃いつもこう答えていました。
人生で誇れる特技なぞ何もなかった僕ですけど、世界史だけは得意でした。
ささやかな自慢ですが、高2の模試では全国偏差値80超えを果たし、センター試験本番も満点を取ることが出来ました。
受験期には、世界史が受験科目だったので勉強していたわけですが、特に理系の友達に頻繁に聞かれていた質問がありました。それは…、
『世界史なんて勉強して何の役に立つの?www』
です。
確かに理系の人からしてみれば、自分と関係のない遠い地域や時代の歴史を学ぶ意味は理解不能だったかもしれません。
これ、世界史に限らず文系の人なら必ず聞かれる質問といってもいいでしょう。僕は「受験に必要だし、楽しいから」といって適当に凌いでいました。
ただ、受験に必要だから、では受験が終わってからが長続きしません。本屋には歴史の解説本が山のようにありますが、資格や受験がない人が学び直すには、受験だけでは理由が弱すぎます。
っつーわけで、今回は僕なりの歴史を学ぶ意味と特に世界史が必要でまだ時間がある受験生に向けていくつかアドバイスをしたいと思います。余裕があれば教材も紹介します。
なお、2回にわたるつもりです。
*高校で学ぶ世界史と、大学で行う歴史学は、名前こそ似ていますが全く異なるものです。アプローチも定義も深さもまるで違うので、あくまで『高校世界史』に絞って話を進めます。
《世界史を学ぶ意義編》
⒈ 過去の異なる時代から人間の本質を知る。
紀元前の長い長い時代から人類は共同体を作り、国を作り、国家のシステムを整え、戦争をして、と作っては壊し、作っては壊しを繰り返してきました。
その間、多くの技術や文化の発達・発展もあり、僕たちは今日、先人の恩恵を享受しています。紀元前や古代から今日まで全く同じ形で存続している国はほぼありません。凶作や革命や暴動などで国家は倒れ、その度に多くの血が流れてきました。
地球は青い星ってだけじゃありません。争いという視点で見れば地球はどこもかしこも血で真っ赤っかです。 それを忘れちゃいけません。
しかし、当然ですが、全ての国家、為政者が悪かった訳ではありません。清朝初期の康熙帝や、拡大期のムスリムの統治政策、タイのプミポン国王など時代を超えても優れた人格などによって民衆の支持を集めた君主や、政策はあります。
逆に人々が政府に対して革命や反乱を起こすのはどういう時か。
簡単に言えば、腹が減った時、権力の堕落、重税などです。
これは古代ペルシアや、中国史、フランス革命など時代を超えて共通しています。
時代や地域、服装や技術が変わっても人はそこまで変わらないのです。
生活が極限まで苦しければ、どうにかしようとするんです。清廉な指導者は支持を集めます。税が重けりゃ抗議します。
もちろん、今は先人のおかげで研究が進みました。グローバル化で国家は相互により影響を受けやすくなったので、かつてのように暴動はそう起こらないでしょう。
でもこれは国家の話だけじゃありません。僕たちの身の回りにも言えるんです。
社会は人間が作ってきたものですから、歴史から我々が学び、日常に活かせることはいっぱいあります。特に多くの人が何らかの形で集団と関わる今日では。
誰だって、話を聞いてくれる上司のもとで働きたいわけです。パワハラ気味に仕事押し付けてくるオラついた上司は嫌だし、一部の特権階級が甘い汁を吸う構造ならみんなが不満を持ちます。
将来、読んでくださった人の中で社会に出て責任ある立場に就く人も出てくるかもしれません。僕もその一人かもしれませんが、歴史が示してきたことはゆめゆめ忘れるべきじゃないなあと思います。
よく、「人間は同じ過ちを繰り返す」と言いますが、歴史から学ぶことを軽視してる人が少なかれいる世の中じゃ当たり前だと思います。入試に対しても色々言いたいことありますが、それはまた別の機会に。
⒉ 今の時事問題を正しく認識する
ここ最近、日韓問題に対してずーっと暗いニュースが続いています。韓国議長の天皇謝罪発言、輸出規制、GSOMIA破棄などなど、、。大学に韓国人の友達がいっぱいいる僕としては気の重くなる話ばっかりです。
「謝罪・賠償」 「いや日韓基本条約で解決済み」
ずーっとこの平行線ですわ。
ん…?チョットマテヨ…?
「何に対する謝罪?」 「日韓基本条約って何?」
ってなる人もいるんじゃないでしょうか。
もちろん、これだけ連日メディアで取り上げられてる日韓問題なら大筋を知ってる方も多いでしょう。が他はどうでしょうか。
パレスチナ問題、黒人差別、香港問題などなど…。悪い話ばっかじゃないです。何故台湾は親日国なのか、どうして中華料理はあんなにバリエーションが豊富なのか、、。
良い話も悪い話も必ずバックグラウンドがあります。今、我々が本やニュースで耳にする良い話も悪い話もそこだけ切り取られたら分からん訳です。
恋愛ドラマに例えたら分かりやすい。好きな俳優と女優を思い浮かべてください。
彼ら主演のドラマの視聴率が90%だとしましょう。周りもその話題で持ちきり。
でも貴方は見たことがなかった。
ちょっと観ようと思いTVを付けたら、6話の冒頭。恐らく前話のラストであろうキスシーンから始まります。しかしそこだけ観たら当然こうなります。
そりゃそうだ…。
「二人のプロフィールは!?」 「仕事は?」「ライバルはいないの!?」
「何で今こうなってんのぉぉぉぉ!!」
内容についていけない貴方は、ネットで「これまでのダイジェスト」とか探すんじゃないでしょうか。
これと同じことが時事問題にも言えます。
今、世の中で起きてる問題は、言わば「ドラマの6話」です。
しかも最初から生きてるわけでもない我々はそこから観ざるをえない。
そこでダイジェストの役割を果たしてくれるのが「歴史」です。
過去を詳しく知れば、現在のこともよりクリアに見えてきます。
正しい認識を持てるようにする。これが歴史を学ぶ2つ目の意義だと考えます。
⒊未来を知り、よりよく生きる手がかりになる。
これは⒈と少し被ります。未来は予測不可能です。明日どうなるのかさえ、誰にも分かりません。しかし、過去の失敗から未来を考え、最悪の状況から遠ざけることはできるかも知れない。あるいは何か起きても初動を早く起こせるかも知れない。
今、世の中は変化の真っ最中な上に、個性的な面々が各国を率いています。
過去に似たような状況は無かったのか。もしあったらその時はどうなったのか。
共通点はないのか。これからどうなりそうなのか。
そういった手がかりに歴史はなってくれるでしょう。勿論。100%的中とはいきません。しかし、被害を最小限に食い止められるかも知れない。逆に最大の利益を得られるかも知れない。
そのために過去から学び取る。これが僕が思う3つ目の意義です。
少し長くなりました。人間生きてく上で後悔は良くないと思います。
しかし、よりよく生きていく上で時に後ろを振り返ることもまた、必要だと思っています。歴史から学べることは沢山あります。それを遺してくれたのは、今日我々が生きてる世界を作ってくれた、夥しい数の犠牲に他なりません。
死人に口無し。言葉こそ無いが、我々の頼もしい先生です。
我々には学習能力が一応、あります。
過去から学び、次代への教訓を遺す。そのために過去をしっかり学ぶ意味はあると思います。
最後まで読んでいただき有難うございました。次回は学習方法編です。